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たとえそれが、どんな過去であろうとも。
それを、私は取り戻さねばならない。
半ば、使命感にも似た気持ちで、私は自分にそれを言い聞かせた。
やがて、最後の乗客が車内に姿を現わし、石坂が運転席に乗り込んだ。
「やあやあ皆さん! こんな私なんぞの為に、長らくの時間お待たせしてしまいました。それではこれより、ホテルながむらへと向けて出発です!」
最後に乗り込んだその男は、本来石坂が語るべき台詞を口にして、私の横へと腰を下ろした。
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