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ダンナの職業は自営業の建設業です。
義父が経営していた小さな建設会社の跡取りとして、たいした不自由もなく、周囲に大切に扱われていた人です。
私たち夫婦は親のお金で盛大な結婚式をしてもらい、同年代のサラリーマンよりは金銭的には少し恵まれた生活を送っていました。
当時は建設業華やかなりし頃で、ダンナも「付き合い」や「接待」と称しては、毎晩のようにクラブやラウンジを飲み歩き、朝帰りも珍しくありませんでした。ある時、ゴルフ旅行に行くと言い出したのですが、いつもなら私に車で集合場所まで送迎させるのに、その時に限って送迎は必要ないとのこと。
私「送らなくていいの?」
ダンナ「一緒に参加する奥田さんが、うちの近所まで迎えに来てくれるから、必要ない。」
私「ふうん。そうなんだ。」
翌々日、旅行から帰ったダンナに
私「ゴルフどうだった?」
ダンナ「うん。まあまあ。」
私「奥田さんは?」ダンナ「一緒に廻ってないから、よく知らない。」
私「そうなの?夜は宴会だったんでしょ?」
ダンナ「ああ。でも、仲居さんと話しただけ。」
私「???」
翌朝、洗濯をしようと、ダンナが旅行に着て行った服のポケットに手を突っ込むと…
指輪!?
結婚指輪のようなシンプルな指輪が1個。サイズは男性用みたいで、少々大きい。ダンナは普段から結婚指輪は つけない人で、ファッションリングを楽しむタイプでもない。
初めて見るその指輪を手にした時、「ペアリングの片割れ?」に思えた。
とりあえず見なかったことにしてポケットに戻した数分後、ダンナが出勤途中で帰って来た。
ダンナ「指輪、忘れたんだけど知らない?」
私「これポケットに入ってたけど、どうしたの?」
ダンナ「あ!それ俺のん。旅行先で売ってて、気に入ったから買っただけ。 じゃあ、行ってきます。」
ダンナは足早に再び出勤。
私の心の中では『疑惑』の芽が急成長。
………絶対に怪しい。
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