第一章

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降り出した雨を責めることはない。 ただ運が悪かった。 そう思いながら僕はバス停の待合室でジャケットに付いた雨を払う。 少し雨宿りをしていこうか。 そう。 バスに乗るまでもない。 くたびれたベンチに腰掛けてぼんやり空を見上げる。 -あの日と似た空だった。 ―――――――――― 寝ぼけ眼をこすりながら彼女は起き上がる。 「おはよう」 寝癖に似合わない柔らか声が印象的だった。 「今日私の絵が表彰されるの」 小雨が降る中お気に入りのスカートをはいて君は玄関を開けた。 最期に見た君は笑っていた。 ――――――――――― 神は昔から信じていた。 Prayer Player 祈る者 操られる者 僕は間違いなく前者だった。 でも君から見たら僕は後者だったのかもしれない。 そう考えるのがおかしくて僕は君のことを少し忘れた。 「oh サランラップ」 捻るだけでキレイに切れた。
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