濁った太陽

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一瞬の出来事だった。 大通りには銃声と悲鳴が響き渡り、何かをぶちまける音が聞こえてきた。 目の前にいた隊長は、銃声が聞こえた瞬間、左肩に銃弾が当たり、左肩が消し飛び、体が勢いよく左回転した。 「ぐげ・・・がきゅ」 回転の影響で、バキバキと首の折れる音がし、首や左肩からあらゆるモノをぶちまけながら、そのまま血塗られた道路に叩きつけられる様に倒れた。 「う・・・うわぁ・・」 宮本は腰を抜かし、壁に手をかけ敵に気づかれない様に小声で泣きはじめた。 律子「・・・・」 律子は隊長の成れの果てを呆然と眺めていた。 辺りから血にまみれた臓腑の悪臭、かすかだが匂う、重機関銃の硝煙。 恐らく宮本が嘔吐したのだろう、酸っぱい臭いが後ろからしてきた。 また、太陽が濁って見えた。 いろんな悪臭で、太陽が濁って見える。 あぁ、濁った太陽よ。 濁っててもいい。 私達の活路を照らして下さい。
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