逃走

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殺される。 頭の中に浮かんだ言葉がまずそれだった。 俺はこの先輩が苦手だった。 入隊当時からずっと・・・。 隊員から暖かく迎えられたとき、この人だけは無愛想に応対した。 そこから地獄の日々だった。 あの人に毎日説教食らわされ、失敗したらすぐ殴る、何かと口うるさい、最悪な毎日だった。 このまま死んでも悔いはない。 何が汚名だ、旧日本軍かよ。 でも思えば、何かと世話を焼いてくれた。 戦闘の合間、射撃訓練をさせてもらったり、銃の整備を教えてもらったり、被弾したときも乱暴だったけど真っ先に手当てしてもらったり、後、お礼を言ったら照れてやがんの。 まるっきりツンデレじゃん。
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