濁った太陽

4/17
前へ
/120ページ
次へ
律子「!」 律子は咄嗟に死体を持ち上げ、それを盾にした。 パン フチュン パォン 銃弾が死体に当たり、死体は血を噴き出し、体の破片を撒き散らし、次第にボロボロになっていった。 「もう・・・もたない」 律子は道の途中で死体を捨て、一気に走り抜けていった。 銃弾の嵐を抜け、律子はやっとの思いで路地に着いた。 「すいません、遅れをとりました」 「生き残っただけでもいい。急ぐぞ」 隊長は先頭に立ち、AKー102を構えながら歩きはじめた。 隊員達も後をついていった。 「・・・・」 律子は歩きながら太陽を眺めていた。 昔の太陽は、こんなに濁っていたっけ? 硝煙や、血の臭い、建物が崩壊する音、 視覚以外の感覚で、太陽が濁って見える。 まるで、今の日本のようだ。 外見だけ取り繕って、中身は濁っている。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加