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俺、林 隼から見れば彼女(確か早川)はただの店員だ
仕事の用事で通う店にいるだけの存在
ただそれだけ
そんな彼女の変化に気づいたのはごく最近
俺を見るなり目を輝かせ
何かある度沢山いる客の中で俺だけに声をかけるようになった
そうでもされたら自惚れ無しに思ってしまうだろう
こいつは俺の事好きだなと
好意を持たれるのは嫌ではないが問題は相手だ
店の中でも地味だし
名前を覚えていただけでも誉めてもらいたいほど影が薄い
好意を持つのも難しい
だから今日たまたま会ったのではっきり言ってやった
「俺…君に興味持てないんだ」
かっこよく振ったつもりだった
本当に
目の前からため息が聞こえる
笑顔を無理矢理作って「わかりました」か?
それとも落ち込むか?
あっ泣かれるのは勘弁だな
「知ってるし心配いらないですよ」
目の前の彼女は俺の想像を見事に裏切った
「わざわざ言わないで貰えますか?面倒臭いなぁ」
彼女は面倒臭そうに溜め息を吐く
言葉を要約すると
俺を好きではないのにわざわざ好きな振りをしているということ
じゃあなんのために?
やや混乱してきた俺をよそに
「腹減った~ご飯食べてこよ」
などと呟きながら何処かへと歩いて行く
いやいや待てよ
「んっ?」
がっしりと彼女の腕を掴む
「俺には知る権利があるはずだ!説明しろ」
彼女は俺と掴まれた腕を交互に見た後
「面倒臭い」
そう呟いて心底面倒臭そうに溜め息を吐いた
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