第一章

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まあ財布を返してもらう前に彼女と一悶着あったからタイミングはずれたが 「あれは私の物ですよ」 「ふざけてないで返せよ」 彼女は貰う気満々だった 「これで新しい服買おうと思ってたのにな」 彼女は残念そうにため息をつき 財布を俺に投げてきた 中身を確認したが無事のようだ 「もう面倒臭いから挑発に乗るなら私の目の届かない所でお願いします」 全て平らげたプレートを持ち彼女はさっさと歩いていく 「あっ!そうそう」 何かを思い出し立ち止まり くるっと振り返る 「これからよろしくお願いします」 いやいや待て待て 俺は了承してないっつの 「まだ文句あるんすか?面倒臭い」 「大有りだっつの」 「いいじゃないっすか知ってるのは店の人だけだし」 そういう問題じゃない 「心配することないっすよ演技だし」 そう言ってまた歩き出す彼女の背中を見て 今度は俺が溜め息をついた そしてあることを思い出す 財布が無事だったということは 「俺のハンバーガー代は!」
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