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漂う不気味な雰囲気に、少年は無意識のうちに身構えていた。 (…く、来るなら来いよ…剣道部なめんなよ…!) 何に対してか分からない恐怖感と戦いながら、少年は建物から出てくるであろう何かを待った。 「………おせぇな…」 ―ズンチャッチャ♪ ズンチャッチャ♪― 少年が小言を呟いた瞬間、テーマパークに有りがちな音楽が流れてきた。 「キミノースキナーイーロハーナニー♪」 楽しげな声が建物の中からこちらに向かって来るのがわかる。 「ボクターチハーアカガーダイスキー♪ ボクターチハーアオモーダイスキー♪」 (…よくよく考えてみれば、これガキの声じゃねぇか…) 子供の声に怖がっていた自分を恥ずかしく思いながらも、少年は安堵してため息を漏らした。
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