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ハサミを片手に持ったぬいぐるみは、よたよたと歩き少年に近づいていく。
『黒…ダネ、黒。ク、ロ………黒黒黒黒黒黒黒クロクロクロォォォオっ!!』
ぬいぐるみは叫びながらハサミを持った手を大きく振り上げる。
少年は反射的に目をつぶってしまった。
(や…やられ………)
ガキィィン
少年が死を覚悟した瞬間、金属がぶつかり合うような音が鳴り響いた。
「…ちっ」
「え………うわっ!?」
音に驚いた少年が目を開けた時彼は自分の身体の異変に気づく。
(俺、浮いてる…?いや、違う!)
横腹に温かみのある手のような感触がある。少年はやっと、自分が誰かに抱えられていることに気がついた。
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