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(やばい、どうしよう……怖い…) 少年はパニックを起こしていた。奇妙なぬいぐるみはもちろん怖いが、今自分を抱えている相手も、彼にとっては恐怖の対象となった。 「は、離せよ!嫌だっ」 「暴れるな!死にてぇのか!」 自分のすぐ上から聞こえてきた怒声に、少年はビクリと肩を竦めた。 少年がその声に反論するよりも先に、彼の頬を鋭い物が掠めた。 「ひっ………」 それはぬいぐるみの持ったあのハサミだった。 あまりの恐怖に、少年は気を失ってしまった。 「……めんどくせぇモノ拾っちまったぜ」 遠退く意識の中で、そんな声が聞こえたような気がした。 これでもう、この悪夢は終わってくれるのか。そんなことを思いながら、少年は暗闇へと意識を手放した。
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