9人が本棚に入れています
本棚に追加
男も周りに習って昼食を取ることにしたらしい。
適当な木陰を見つけ、外套を敷物替わりに引くと、その上に胡座をかいて座り込んだ。
そして背負っていた袋を地面に下ろすと、簡単に解け無いようにした独特の結び目を器用に解き、中から一つの包みを取り出す。
動物の皮をなめしたらしいその包みを開くと、中には何やら葉っぱのような物が見える。
さらにその独特の香りがする葉を取り除くと、中に入っていたのは乾し肉だった。
包みから残り少なくなった乾し肉を一枚取り分け、残りをまた丁寧に包み直し背負い袋に仕舞い込む。
そして、その背負い袋の口をしっかりと閉じると、再び袋を背負った。
体に身に付いた、不測の事態に備える為の習慣だ。
そこまで準備を整えると、やっと彼の食事は始まる。
最初のコメントを投稿しよう!