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そう思うと、薗嘉のことが気掛かりだった。彼女は無事だろうか。
よろけながらもドアにたどり着き、ノブに手をかける。
ノブを回して引くと、思いの外ドアがすんなりと開くもので、拍子抜けしてしまう。
一般的な学校の教室程の広さの部屋に出た。
大型のモニターが壁に取り付けられており、それに対して人一人通れるぐらいの距離を空けて長めのテーブルがある。
テーブルには、モニターを基準として左右に二つずつの椅子、モニターの向かい側に一つの椅子と大型のパソコンがあった。
モニターの脇の部屋の角には四つのロッカーが並んでいる。
全体的に、会議室に似たような印象を受けた。
当たり前と言えば当たり前だが、俺が寝ていた部屋以外にも部屋はいくつかあるらしく、その内の、先程から重低音が響いてきているドアへ向かう。
こちらのドアもノブを回すと、やはり何の引っ掛かりもなく開いた。
ドアが開いた瞬間、音が大きくクリアになり、音源がこの部屋にあるとわかる。
中に足を踏み入れた矢先目に入ったのは、俺たちを襲ったのとは違う、三つは年上であろう青年の姿だ。
俺が寝ていた部屋と広さは変わらないものの、ベッドの他にもデスクや大型スピーカーなどが置かれている。
その中で青年は、ベッドに腰掛けてアンプに繋がれたエレキベースを弾いていた。
音源はこれか、と納得すると同時に青年は顔を上げた。
「おう、起きたか」
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