1.目覚ましベース

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そう思うと、薗嘉のことが気掛かりだった。彼女は無事だろうか。 よろけながらもドアにたどり着き、ノブに手をかける。 ノブを回して引くと、思いの外ドアがすんなりと開くもので、拍子抜けしてしまう。 一般的な学校の教室程の広さの部屋に出た。 大型のモニターが壁に取り付けられており、それに対して人一人通れるぐらいの距離を空けて長めのテーブルがある。 テーブルには、モニターを基準として左右に二つずつの椅子、モニターの向かい側に一つの椅子と大型のパソコンがあった。 モニターの脇の部屋の角には四つのロッカーが並んでいる。 全体的に、会議室に似たような印象を受けた。 当たり前と言えば当たり前だが、俺が寝ていた部屋以外にも部屋はいくつかあるらしく、その内の、先程から重低音が響いてきているドアへ向かう。 こちらのドアもノブを回すと、やはり何の引っ掛かりもなく開いた。 ドアが開いた瞬間、音が大きくクリアになり、音源がこの部屋にあるとわかる。 中に足を踏み入れた矢先目に入ったのは、俺たちを襲ったのとは違う、三つは年上であろう青年の姿だ。 俺が寝ていた部屋と広さは変わらないものの、ベッドの他にもデスクや大型スピーカーなどが置かれている。 その中で青年は、ベッドに腰掛けてアンプに繋がれたエレキベースを弾いていた。 音源はこれか、と納得すると同時に青年は顔を上げた。 「おう、起きたか」
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