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拝啓。
今は亡き、お父さん、お母さん。
天国では二人仲良く元気に暮らしているでしょうか。
私こと、『フィアリス・ノーマ』は元気にやっています――
――と、言いたいのは山々なのですが。
実は私、今とてもピンチです。できれば、救いの手を差し伸べてはいただけないでしょうか。
「とうとう追い詰めたぜ」
街外れの廃屋。辺りには瓦礫が散らばり、辛うじて建物の原型を留めているその場所で、私は追い詰められていました。
目の前に群がるのは、下品な男達。あえて、特徴を挙げるならハゲ。
ハゲ、ハゲ、ハゲ。どこを見渡してもハゲばっかりです。スキンヘッドと呼ばれる髪型なのでしょうが、私から見ればどれも一緒です。
そんな男達の手には、様々な武器が。剣、銃、斧。よりどりみどりです。
唯一の武器である銃を奪われた私の命は、まさに風前の灯火。猫の前に放り出された鼠です。ついでに言うと、袋の鼠です。
「貴方達、こんなか弱い女の子を大勢で囲んで恥ずかしくはないのですか? 私だったら恥ずかしいです! ああ、穴があったら入りたい!」
私は精一杯強がってみせます。最後のは余計だったかもしれません。ですが、言わずにはいられなかったのです。
そういう意味ではない事を理解しつつも、穴を潜ってでも逃げたいという気持ちが、ついこぼれてしまいました。
結構余裕ぶっていますが、内心はガクガクブルブル。まるで生まれたての小鹿です。お願い、誰か助けて。へるぷみー。
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