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妹もどきの強襲から十数分後。
何故か私達はロビーでゆったりと紅茶をいただいておりました。
ふかふかのイスに、ティーセットが並べられた手頃な大きさのテーブル。
エデンと共にお茶菓子を用意しにいったペテロさんを除き、この場にいるのは四人。
私の隣で、警戒心を剥き出しにしているシエル。
私達の向かいで、つまらなそうに紅茶をすすっている妹もどき。
そして――
「いやはや、連れが迷惑をかけたみたいで……本当に申し訳ありませんでした」
妹もどきの隣に座る、優雅な物腰の見知らぬ男。
年齢は、二十代前半程。私とはまた違う淡い金色の髪に深青色の瞳。大人の魅力とを兼ね備えた綺麗な顔立ち。一言で言い表すなら、イケメンです。
「ケッケッケ、気をつけろヨ。コイツ、こう見えてスッゲーたらしだからナ」
「人聞きの悪い事を言わないで下さい。私はただ、全ての女性を平等に愛したいだけですよ」
まるで、兄妹のように慣れ親んだやり取り。若干、心が痛むのは何故でしょうか。
「……それで、貴方達は一体何々ですか?」
静かに、そして確かな敵意を含めて、シエルが核心に迫る問いを投げかけます。
「あ、申し遅れました。私の名は、ロニキア・ファーマス。ここにいるノアと共に、貴方達と同じく今回の発掘作業に同行させていただく予定となっています。以後、お見知りおきを」
そんなシエルを前にしても、男――ロニキアは調子を崩しません。胡散臭い微笑みを浮かべて、のらりくらりと質問をはぐらかします。
「そんな事を聞いてるんじゃない」
「他に何か?」
隣で交わさせる、圧倒的な威圧の押収。シエルの静かな怒りが、こちらまで伝わってきます。
「シエル、少し落ち着いて下さい」
人は、身の回りで騒がれると、逆に落ち着くもの。
疑問は何一つ解決していませんが、だからこそ今は出来るだけ情報を引き出す事が先決なのです。
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