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【Side:Al-Fialice】
気持ちを落ち着けるには、やはり紅茶が一番。
私の前には、ふかふかのイスの背もたれに完全に身を預け、足を組み座る彼女の姿。よろしくする気など更々ないようなその態度も、今は気にしない事にしましょう。
紅茶を口に含み、酸味と甘味か織りなす絶妙な味をよく吟味し、ゆっくりと喉に通す。大分落ち着いてきました。
そこで、私は再び話を切り出す事にします。
「――それで、貴女の事は何とお呼びすればよろしいのですか?」
例え妹と同じ姿をしていようが、彼女は彼女。色々とありましたし、色々と理解し難い事を言われもしましたが、今は忘れましょう。
私は、大人なのです。
「ア?」
そう、私は大人。些細な事で腹を立て足りはしません。
「ですから名前を――」
私は、大人――。
「アァ?」
私は、おと――。
「ぷちん――だから、名前を言えと言っているのです! このボンクラ!!」
「ワタシノコトハノアチャントヨンデクダサイ」
「何でカタコト!? 聞き取り難い事この上ない! おまけに、さりげなく自分の事をちゃん付けで呼ばせようとしている!?」
何たる鬼蓄。表面上は上手く取り繕くろいつつも、裏では色々と考えている私なんか目じゃないくらいです。
「……ノアサマ」
「まさかのランクアップ!?」
このままでは埒が明きません。故に、『出来る範囲』でこちらから折れれる事にしました。
「――非常に不本意ですが、貴女の事はこれからノアと呼びます。同姓同名なんて世の中ざらですしね」
まあ、同姓同名同姿は絶対にないでしょうけど。
「呼び捨てかヨ……」
「まだ引っ張りますか!?」
上手くやっていけるかどうか以前に、無事に意思疎通が出来るか心配になってきました。
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