2279人が本棚に入れています
本棚に追加
「何やら賑やかしいですな」
大した進展もないままノアと向かい合っていますと、そこにペテロさんとエデンか登場。それぞれの手には、様々お茶受けが乗った皿が置かれています。
「オー、待ちわびたゼ」
イスに沈めていた体を勢いよく起こし、少年のように瞳を輝やかせるノア。
妙に慣れ慣れしい態度ですが、それもそのはず。どうやら彼女と優男は、ペテロさんの知り合いらしいのです。
いくら知り合いだからとはいえ、いきなり窓から不法侵入はどうかと思うのですが、ペテロさんはそれすらも笑って許されました。
彼曰く。
元気があって羨ましい、との事。
……ツッコミませんよ? ええ、ツッコミませんとも。
しかも、遺跡発掘護衛依頼のもう一組が彼女等との事。優男は分かりませんが、ノアは絶対に文化財の尊重とは無縁そうです。
「ドウゾ」
そう言って私にお茶受けを渡してきたのは、エデン。
「ありがとうございます」
座っている私が受け取り易いように高さを合わせてくれます。行動の端々に見受けられる小粋な気配り。どっかの誰かさんに見習わせたいです。
「ノアさんもドウゾ」
「サンキュー」
まるで引ったくるような受け取り方。変な言い方かもしれませんが、エデンの爪のアカでも煎じて飲みやがれなのです。
「そういえば、何だか外が騒がしいですな……」
「そう……ですね。言われてみれば……」
ノアの相手をしていて今まで気がつきませんでしたが、耳を澄ますと屋敷の外が多少騒がしいような気がします。
そこで思い当たったのが、先程風に当たりに行くと言って出ていったシエル。そして、それについていった優男。何だか、激しく嫌な予感がしてきました。
最初のコメントを投稿しよう!