第二話 鈍色のマリオネット②合わせ鏡

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「……マ、古今東西女子供を護るのは男の仕事ダ。『外の事』はアイツラに任せて、ワタシ達は茶を楽しもうゼ」 「――え?」  唐突なノアの言葉に、私が思わず聞き返した――その時です。  窓ガラスが割れた時の感高い音。それと共に、屋敷内へと何かが転がり込んで来ました。  それが何なのか、確認する暇もなく割れた窓からもう一つの影が。  影は、銀色の光を散らしながら私達の目の前――窓ガラスを割った、何かの元へと着地します。 「シエル……一体何をしているのですか?」  聞くべき状況ではないと理解しつつも、私は聞かずにはいられません。  何故なら彼の足元に横たわるのは、全身を黒のローブで覆った人物。  何が起こっているのか、聞かずにはいられないでしょう。 「下がってろ」  私の問いにそれだけ答えると、シエルは手に持っていたアーティファクトを振り上げ、躊躇する事なく振り下ろします。  ドスンという重々しい音と共に、コロリと何かが私の足元に転がってきました。 「へ――?」  それと『目が合った』瞬間、私は無意識の内に情けない声を洩らしていました。 「く、首っ! 首が――!!」   これまで幾度ともなく死体は見てきました。しかし、これは無しです。スプラッタです。頭と体がさようならです。乙女が見ても良いものではありません。 「落ち着けヨ」 「どうして落ち着いてるんですか!?」  何事もないかのように生首を静観しているノアに思わずツッコミ。いけません、頭がパニックです。脳内で妖精さんと小悪魔が舞い踊っています。滅茶苦茶楽しそうです。混ぜて欲しいです。  まさしく、自分でも何を言っているのか分からない程のパニックぶり。 「喚くナ。よく見てみロ」 「喚いてませんよ! 貴女私の心が読めるんですか!?」  そう反論しつつも、私は言われた通りにします。  そこには、頭のない体と生首。凄惨な光景。――が、何か違和感を感じました。 「中身が……」  断面から垣間見るのは、想像していたような生々しいものでは無く、空洞――吸い込まれそうな闇が広がっていました。
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