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「ふー、外は片付きましたよ」
わざとらしく息を吐きながら優男が屋敷内に帰還。その台詞から、襲撃は複数によるものと判断出来ました。
「で、庭に転がってるガラクタ達はどうしますか?」
優男の問いに、ペテロさんがふむと思慮深く頷き、
「人を呼んで回収させましょう。警護の者も呼ぶので、皆さんはどうかお休みになっ下さい」
そうおっしゃられました。
やや強引な物言い。その真意は測りかねます。
「……僕も見張りますよ。正直、並みの衛兵では、術者本人が自ら乗り込んできたらひとたまりもないと思いすし」
いつの間にかアーティファクトを解除していたシエルが、包む事なく意見を述べます。
いつもは自分の意見をあまり表に出さない彼がそこまで言うという事は、それが動かしようのない事実だという事。
それは認めましょう。しかし、ただ享受するのは我慢なりません。
「はい。私も一緒に見張ります」
意見を述べる時は元気よく挙手をして。模範生徒的態度を示しながら、私は自分の意見を述べます。
「……アリスは駄目だよ」
が、シエルはそれを一蹴。しんきんぐたいむもありませんでした。考慮する余地も無しですか。
私が思った反感の意をそのまま口に出そうとすると、ノアが割り込んで来ます。
「遠回しに足手まといだって言われてんだヨ」
本来ならここでカチンとくる所ですが、残念ながら事実は事実。意地だけでは越えられない壁がある。先日、私はそれを痛感したばかりなのです。
「それじゃあ、僕は正面。ロニキアさんは裏をお願いします」
私が押し黙った事を肯定と受け取ったシエルは、的確に役割分担。
――交わされていくペテロさんや優男とのやり取りをぼんやりと聞きながら、私は力の無さを嘆いていました。
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