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(もう、どれくらいになるんだろう…)
機関を抜けて、アイツの元から去って、悲しみや不安を抱えて歩く道は果てしなく…とても長く思える。
今はつかの間の休息だ。
座り込んでみるけど、どうせまたすぐにゼムナスが送り込んで来た奴らがくる。
ハァ…とため息をついたところで、何も変わりはしないのに…こんな時でもふとアイツの事を思ってしまい、腕に顔を埋めて苦笑してしまう。
「馬鹿だよな…こんな事までして。今更、俺が求めていた答えが、ずっと側にあったのに気付くなんて…」
ずっと歩き、戦い、考えてきた。
真っ暗な終わりなき闇のなか。
たった1人で…アイツを失って、ただ心無き者と戦い続けて来た。
だけど、多勢に無勢。
いつもは守ってもらってる背中に意識が散ってしまい、身体中が傷だらけだ。
いつも傷つかないと、分からない。
いつもアイツだけが、守ってくれていた。
いつもアイツだけが、側にいてくれていた。
いつもアイツだけが、笑ってくれていたのに…。
今度は大切だったアイツを傷付けて…失ってから、気付いたんだ。
馬鹿だ、俺は。
何で先に気付けないんだろう
アイツしか…欲しいものは無いのに。
もう絶対に、二度とは手に入らない。
存在してはならない存在…ノーバディの自分に、初めて沢山の事を教えてくれた。
そんなアイツからもらった…苦しくて…哀しくて…でも温かい"愛しさ"という想いが、自分が求めていた答えだったのに。
「…………アクセル…っ」
アイツは確かに俺に"愛しい"と感じてる心を、俺が存在する意味を教えてくれていたのに…
あんなに近かったアイツが…今はもう想い出でしか、アイツの心を愛を感じられないんだ……。
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