甲斐にて

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「いいえ、違います。」 「…えっ?」 あっさりと否定の言葉が返って来たので、私は直ぐに反応が出来なかった。 でも確かに先程悪霊を倒していたはず。 「…悪霊祓いと呼ばれる方々…巫女殿のような方々は、悪霊が視えるようですが私には悪霊の姿は視えませんから。」 「悪霊が…視えない?」 「はい。」 「で、でも先程悪霊に的確に払いを…。」 背中に悪霊が居ることがわかっていなければ、的確に攻撃を当てるなど不可能。 「…視ること適わずとも、不穏な気配を感じる事が出来るのです。」 「不穏な気配…。」 「先程もその気配目掛けて攻撃をしました。」 「……。」 (なるほど…目には視えないけれど別の形で察知出来ると…。) 今までに聞いたことはない例だ。 書物にも載っていなかった気がする。 「巫女殿、私からも一つお伺いしても宜しいか?」 「はい。」 「巫女殿は八雲高嶺神社の巫女ですか…?」 真っ直ぐに私を見る男の人。 その眼には何か…懇願に似た感情が見える。 「はい。私は八雲高嶺神社の巫女です。」 「やはり!よかった、入り違いにならずに済んで。」 「?」 私に何か用事あったと解釈して良いのでしょうか。
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