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汗ばむ背中に、シャツがへばりつく夏の季節、ミーンミーンとセミの鳴き声が私の耳を突き抜けた。
高校生になって
二度目の夏だった。
教室でカリカリと課題をやりながらグラウンドで野球をしているクラスを眺めていた。
「なぁなぁ、陽は誰かと夏祭り行ったりするん?」
後ろの席から、親友である【奈央香】が私に聞いてくる。
「……え?どこも行かへんけど……」
「ホンマに!?ほんなら、私と一緒に夏祭り行かへん?」
ニコニコと笑う奈央香。友達は皆夏祭りは彼氏と過ごす。
毎年のごとく一人だった私は、誘ってくれて凄く嬉しかった。
初めて友達と行く夏祭り。
しかし、気分が乗らなかった。
「彼氏も一緒やけど」
奈央香もまた、彼氏持ちなのだった。
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