美術室の隅っこで。

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私は美術部だった。 油絵の具の匂いや、使いきったパレット。これらが待つ美術室が私を毎日出迎えてくれる。 部員は何名かいるのにも関わらず、何故かいつも私一人だけ。 絵を描くのが、大好きだった。 絵ならば、自分の思いや表現を、キャンバスに思いっきり描ける。 それに、絵だけが私にとって皆より出来ることだったのである。 「さぁ、やるか」 今日は何を描こうかな、とスケッチブックに鉛筆を走らせようとしたらだ。 私は何気無しにふと、横を向いた。 「あれ、今日は美術準備室開いてるやん」
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