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嫌な予感を募らせながら、マクベスが小言を零す。
何があっても良い様に身構えていると、ゆっくりと城内から出てくる者の姿が見えてきた。
中から出てきたのは3メートルはあろう巨体と巨大な翼に赤い皮膚。そして、後頭部から生える2本の角が特徴の龍を思わせる顔つきの魔物。
「……君か、サタン」
出てきたのは四天王の1人、サタン。マクベスは魔力を開放し始めるが、タウルが手を上げて待ったの合図をする。
「どうしたんだい?」
「いや、アイツ様子がおかしくないか?」
タウルに言われて改めてサタンの様子を見てみる。良く見れば、白目をむいており、生気を感じられない。
更に普段、武器を持たないサタンの手には剣が握られている。
マクベスはそれを見て、焦りと同時に妙な納得感を得てしまった。
「勇者の剣……そういう事か」
マクベスが乾いた笑いを零していると、サタンの姿が急に消える。
同時に腹部に強い衝撃を覚え、体が後ろへ吹き飛ばされた。
「なっ、マクベス!」
マクベスは体を後ろへひねり、引き摺られながらも何とか着地をする。
確認をしてみれば、サタンが疾風迅雷の蹴りを繰り出していたようである。明らかに前に闘った時よりも桁違いの強さとなっていた。
「そっか、ミノルの時もそうだったけど、剣を持つと強さが増すんだったね。ははっ、ただでさえサタンは強いってのに……参ったな」
マクベスは握りこぶしを作りながら立ち上がった。
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