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マクベスは魔王城でのミノル内乱の事を思い出す。
結局ミノルは自力で戻る事が出来たが、時間を要していた。その時間はミノルを止める事で稼いでいたが、ミノル自身の元々の実力が低かった為容易に出来たのである。だが、サタンはそうもいかない。
元々が勇者の剣を持ったミノルより格上であり、マクベスと同等の実力を持っていた。
「まくべすじゃないか。あそぼうぜ」
覚束ない口調で呟きながら、サタンがゆっくりと歩いてくる。
「……隙だらけだよ」
左右へ揺れているサタンを見ると、マクベスはすかさず土煙が舞うほどの強さで地面を蹴り、一瞬でサタンの懐に入り込む。
鳩尾に拳を繰り出すが、腕を捕まれて一本背負いの容量で背中を叩きつけられた。
更に倒れているマクベスに向かって、サタンは口を開き、まるで龍を思わせるような炎を吐く。
マクベスは腕を振って手を払い、横に転がり炎を避け、腕の力だけで起き上がると、直ぐに距離を取った。
「くそっ、あんなに隙を見せてるのに、ここまで反応速度が速いとは思わなかった」
マントについた埃を叩きながら呟く。
すると今度はサタンから矢のような速さでマクベスへ拳を繰り出してくる。
マクベスは眼前にくる拳を受け止めようと手を添えるが、サタンはピタリと手を止めた。
「……え?」
マクベスがなぜ攻撃を止めたのかと考慮する間もなく視界の端に見えたのは、もう一方の手で繰り出されている殴打だった。
「おっと!」
しかし、フェイントの攻撃に反応できなかったマクベスの横で、タウルがサタンの腕を掴む。マクベスは2、3歩後ずさりして、タウルとサタンの拮抗を見守った。
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