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『いいか!土曜日の12時に原宿で待ち合わせだ。』
「はい!」
『もし1分でも遅れたら俺は帰るからな』
「はい!!」
コイツ、飯坂は満面の笑みで返事をした。
そういう顔をされるとむしゃくしゃした気持ちをどこにぶつけていいかわからなくて余計にイライラする。
『はぁ、お前年下だけど殴らせろ』
己の主義からいって、自分より幼い者や弱い者を殴るのは気が引けた。
だがコイツは例外だと自分に言い聞かせる。
「わわっ。そういうプレイが好きなんですか!」
『ぐぐぐ…』
「ならオレも全力で頑張ります!梧桐先輩の期待に応えられるように」
『そんなもん応えんなっっ!!』
俺は握り締めた拳の力すら入らずポケットに仕舞い込んだ。
頭が痛くてこめかみを押さえる。
だが飯坂はどこまでも真面目だった。
だからこそタチが悪い。
『改造が終わったら赤の他人に戻ってやる』
そうだ。
彼をウザいと思うならさっさと本人を格好良くしてしまえばいいのだ。
そうすればこの縁も切れる。
どうせ中等部と高等部なのだ。
顔を合わせる事だってあるまい。
俺はうんざりしながら次の土曜日を待つ事にした。
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