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「とりあえず私は、今日のところはこれで失礼させていただきます。と、言っても、またすぐに会うとは思いますがね」
そう言うなり、そこに立っていた男は、どこかへと歩いていった。閃梨さんはそれを気にする様子もない。
「さ、淳くん!さっきのは気にしないで良いからね?」
「……はい。それよりも……」
さっきのことは気にしないで良い、と言われても気にしてしまうだろう。だがそれよりも気になることがあってだな。
「もう、夜が明け始めちゃってるんですけど?」
「……あ、本当だね」
俺が言ったことで初めて気付いたのだろう。閃梨さんは外を確認するなり、再びこっちを向いて、そして苦笑いらしきものを浮かべていた。
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