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まあいいや。とりあえず食おう。どうせ海苔なんだから、ビビることは無いはずだ。
いなくなれば、閃梨さんもそれはそれで安心するに違いないさ。落ちていたものを食べるのは、気が引けるけど……
そんな風にして、内心では愚痴を言いつつも俺は海苔を食べた。うん、味は全然問題ない。普通の海苔だ。
「閃梨さん、ゴキブリなんてどこにもいませんけど?」
うずくまっている閃梨さんの背中を軽く叩き、俺はそう言った。すると閃梨さんはゆっくりと顔を上げ、そして周囲を見回し始めた。
……何? 俺の言うことが、そんなにも信じられないってことなのか? 軽くショックだぞ、これは。
つっても、気にしないのが1番だろうけどさ。
「あ、うん。本当にいなくなってるね。ありがとう」
そして、閃梨さんは軽く目に涙を浮かべながらも、俺に対してそう言ってきたのだった。
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