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私は自己の名前がわからない。けれど世間一般的にはこう呼ばれていた。『百獣の王』と。
百獣の王の私なのだが、今では忌まわしい人間の手によって観賞の道具とされている。私はそれが我慢ならなかった。けれど、ここから出ることは出来ない、どうすることも出来ない。
外に出たい、大草原を走り回りたい。私は百獣の王、そう百獣の王なのだ。それなのにこの扱いはなんだ? 餌はくれるものの、いつも鼻につくまずい肉。言うことを聞かなければ陰ながら鞭で叩かれる始末。
私は何だ、一体何なのだ。何故ここに居る、何故見世物にされる、何故何故何故何故何故――。
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