誕生

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1986年8月26日某県中心部に近い某病院にて、一組の夫婦が焦りを隠せずにいた。今日生まれてくるはずの我が子が一向に産まれてくる気配がなかったからだ。初めてのお産。いくら医者や看護士、そしてそれぞれの両親が「よくあることだから、そんなに気にするな」となだめても一抹の不安は拭いされずにいた。その夫婦曰く、「経験してないことなんだから不安になってもしょうがない」との事だ。…何事も体験せずにはいられない俺の性格はここから来てるんだろうなと思う。それから9月2日までその夫婦は不安と闘いながら過ごした。夫の方など気になって仕事もロクに手に付かなかったらしい。紆余曲折はあったものの俺は生まれた。4000g近い平均以上の赤ん坊だった。
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