第一章

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「ちょっと~!!なんで起こしてくんないの~!」 朝からリビングの中に響く大きな声で、晴奈が叫ぶ。 「お母さんだって今日からあんたのお弁当作らなきゃいけないの! 自分で目覚ましかけなさいよ」 母は台所でせっせと料理をしながら晴奈をにらんだ。 「うざ~!! もう朝いらないからぁ~! 行ってきます!!」 玄関で急いで靴を履く晴奈。 「ちゃんと食べなきゃ元気でないよ!? 何!? そのスカート!! ちょっと! 晴奈!?」 晴奈はスカートを4回も折って、茶色い髪にキラキラひかるピアスを付けて玄関を飛び出した。 私、鈴木晴奈。 今日から高校生。 これから始まる、新しい私! 「急がなきゃ~っ」 駅の階段を駆け上がる。はぁはぁ言いながら改札へ急いだ。 「あっ優衣~!」 「晴奈~!」 改札の前で友だちの優衣が大きく手をふっていた。
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