†キーア†

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―――――4年後―――――― 「おう、お嬢ちゃん今日も一人で買い出しかい」 そう言って店の店主は少女からお金を受け取り、食材の入った紙袋を渡す。 少女は約12歳程度の身長だが膝裏までの長い黒髪に、幼さはあるが端麗な顔立ちとどこか物憂気な表情から下手な大人より大人びて見える。 「ああ、私がせねば私自身が困るのでな」 店主は少女の口調に驚いたのか口を開けて呆けていたが、店主は思い出したように袋に包まれた細長いパンを少女に投げる。 「サービスだ持って行きな」 「…有り難うまた来る」 少女はパンを受け取り、店主に頭を下げて店から出て行った。 店から出た少女、キリュート=レバァンティアはそのまま袋からリンゴを取り出し、噛り付きながら人通りの多い大通りを縫うように歩く。 その動きは慣れたようにするすると人とぶつからず淀みが無い。がキリュートは立ち止まり行く手を遮るのを見上げた。 数は三人、まだ若く16~7くらいのお世辞にも顔がよろしくない男達。いや、青年といった方が良いかも知れない。
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