第一話 バイト

4/13
前へ
/29ページ
次へ
「自分とこの傘下なのにお前は潰れるとか不吉なこと言ってたのか?」 「ふん。私的には潰れようが潰れまいがどうでもいいんだよ。親の仕事なんかどうでもいいさ。それに多分ここのオーナーと私の母が知り合いだったからバックアップしてるだけなんだよ。」 相変わらず無茶苦茶な奴だ。 「そうかいそうかい。ごゆっくり…。」 そして俺は厨房の方へ向かおうとした。 「ちょっと大助。パフェまだ?」 早美が尋ねてくる。 「まだだ。」 「まったく、私を待たせるとは何事だ。」 雛多が腕組みをしながら不満の声を上げる。 待つのが嫌なら店に来るな。 「頼むからおとなしくしててくれ。」 「ちょっとクレーム付けてやる。」 雛多が立ち上がる。 「やめい。」 「大助ぇ~。コーヒーおかわり。」 早美がカップを差し出す。 「ほら。」 俺は早美にコーヒーのおかわりをついだ。 「私もおかわりが欲しいのだが、本場のブラジルのコーヒー豆でつくってもらいたいから今から買ってきてくれ。」 「ブラジルは日本の真裏だ馬鹿やろう。」 ちなみにこんなところで漫才している場合じゃない。 「仕事中なんだからおとなしくしとけよな。」 これ以上こいつらの相手はしてられん。 そう思った俺は再び厨房に向かって歩き出した。 カランカラン。 またしても店に客が来たんだが…。 「おう。やっぱここだったか。」 「淳君の言った通りですね。」 「予言的中。」 「…帰ってくれ。」 .
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加