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偽正心(犠牲心)
僕は僕が嫌いだ昔からずっと、そしてこれからも。
人生において生まれて来なければ良かった、そう思った事がある人はけして少なくは無いのだろう。
誰にだって自分が生まれた理由何て説明出来やしないし、出来たとしてもそれが正解なのか誰にも分からない。
だらだらと未練がましく醜悪に怠惰に慢性的に、そして生まれ出た余力で呼吸を続けている僕にとって、そういった悩みや苦悩は受け止め切れない苦痛でしかない。
人間は清々しい位下らない生き物だ。
悪戯に時を謳歌し、
下らない世界に翻弄され、
どうしようもない現実に蹂躙される。
人間は決して、
素晴らしくも無い。
美しくも無い。
尊くも無い。
「××××、僕はね君みたいな人間が大嫌いなんだよ。君がどんだけ素晴らしい人格者でスーパーマンみたいな超人だとしてもさ、きっとお前は何にも変えられやしないんだぜ。」
こんなにも行き詰まった世界でさ、どんだけ偽善を振り翳したとしてもそんなのは気休めにもなりゃしない。
「お前は全ての人を救いたいとか、幸せに出来ると思ってるけどさ。教えてやる、誰かを救うって事は誰か見棄てるってことだし。誰かを幸せにする事は誰かを不幸に貶めるって事なんだよ。」
何もかもが他人を傷つける口上なのだから。
愛されたいから嘘を吐き。
理解されたいから群れて。
自分の居場所を他者から奪い。
孤独と引き換えに良心を捨てる。
―嗚呼、セカイハナンテスバラシインダ。
「―断言してやる。お前は『何も救えない』。何にも出来ないくせに誰かを期待させるな、他人の迷惑考えたことあるのかよ。責任も取れやしないくせにいけしゃあしゃあと綺麗事ぬかしてんじゃねーよ。」
僕だってこんな事本当は言いたくなかった。でも僕はお前という優しさがどれ程の救いになるか知ってるから、お前が道を踏み外さぬよう。言わずにはいられなかったんだと思う。
「お前は正しいよ、正し過ぎる程正しいよ、飽き飽きする程正しいよ、競べようもない程正しいよ。だからお前は脆いんだ、だからお前は傷つくんだ、だからお前は迷うんだ、欠陥だらけのこの世界で正しい事は異常でしかないんだよ。」
僕からの一方的な会話はそれで御仕舞い、泣き出しそうなアイツの顔は今でも覚えている。
大丈夫、泣けるならまだましだ。僕みたいに泣けなくなったらそれで終わりだから。
―これが僕とΧΧΧΧとの人間関係
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