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止物語(死物語)
―在る処に不幸な少年がいました、彼には家族が居ませんでした。
彼の周りでは次々と不幸な事が起こりました。
沢山の人が不幸になりました、不幸なまま死にました。
沢山の人が彼を怨み―畏れました
彼が物心つく前に母も父も姉も事故で死にました
だから彼には家族が居ませんでした、温もりを知りませんでした。
喜び方も、
怒り方も、
哀しみ方も、
楽しみ方も、
愛し方も、
愛され方も。
やがて彼は化け物と呼ばれるようになりました。
―在る処に幸福な女がいました、彼女には家族が居ませんでした。
彼女の周りでは次々と幸福な事が起こりました。
沢山の人が幸福になりました。
幸福なまま死にました。
沢山の人が彼女を崇め―奪い合いました。
彼女が物心つく前に母も父も兄も殺されました
だから彼女には家族が居ませんでした、温もりを知りませんでした。
喜び方も、
怒り方も、
哀しみ方も、
楽しみ方も、
愛し方も、
愛され方も、
やがて彼女は化け物と呼ばれるようになりました。
そして、彼と彼女は出会いました。
異端と異常、破滅と狂乱、恍惚と終焉、絶望と御伽が交差した実験場で最厄と最幸は出会い。
結果としてそこにある全てを破壊してしまいました。
世界の一部の癖に世界を呪った少年は、死ぬ事も出来なくなりました。
誰よりも人に愛された彼女は人の愛し方を知りました。
そして彼女は誰よりも幸福に死にました。
少年はまた独りになりました、世界に嫌われた少年はまた死にぞこないました。
世界は狂っているのかもしれない
世界は壊れているのかもしれない
世界に確かな物は無いのかもしれない
世界に愛なんて無いのかもしれない
だけど世界は終わらない
何時までも何時までも何時までも何時までも何時までも何時までも
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