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昭和36年4月、四国の高知県高知市の小学校に入学したよしこはちょっと男まさりの女の子だった。
お喋りででしゃばりでいつも元気いっぱい。
だけど本当は心がちょっぴり弱い…だから、毎週金曜日になると朝嘔吐する。
病院へ行ったら、自家中毒と診断されて、大好きな学校を休まなければならなかった。
「お父さん予定通り、転勤だって…山奥なんか行きたくないよね。」母が6月の終わりのある日、口を尖らせて言った。
せっかくここの小学校で友達が出来たのに…とよしこも面白くない。
特に仲良しの男の子とは手をつないで毎日学校から帰っていた。
その子の名前も忘れてしまったが、色の黒い健康的な笑顔に白い歯、チリチリの天然パーマ、手に蛙におしっこされた後だというイボがあった。
男の勲章らしく、その子はよくよしこにそのイボを触らせた。
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