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涼、一歳。
佳奈、二年生。
冬華、幼稚園年長さん。
涼が生まれてから、直哉は今までにも増して仕事を頑張ってくれているようだった。
ただ、酒が大好きなのは変わらず、4㍑の焼酎を買って来て、それを烏龍茶で割って飲むのだが、一日に飲む量は半端じゃなく、二週間持たない。
それに酒癖も悪く、ニコニコしながら飲んで居たかと思うと急に怒りだし暴力を振るう事も多かった。
ある日、いつものように普通に飲み始めた直哉だったが、暫くすると何が気に入らないのか分からないが喧嘩腰に物を言うようになった。
そうなると途端に怖くなる。
七海は暴力を振るわれる恐怖感に耐えながら、何とか直哉の機嫌を取ろうと頑張った。
しかし、何の前触れもなく怒りだし、殴り掛かって来た。
馬乗りになり、頭を数発殴られた所で七海は目の前が真っ暗になった。
目が見えない…。
すぐに戻ったので何だったのか未だに分からないが、真っ暗になって慌てていた七海に、直哉は
『嘘ばっか!下手な演技なんかするな!』
と言い放ったのだけはハッキリと覚えている。
そこから朝までの記憶は全くない…。
次の日の昼前、直哉が
直哉『お前大丈夫?昨日いきなりゲラゲラ笑い出して、その後急に真剣な顔をして何かが呼んでるから行かなきゃいけないとか言ってベランダから飛び降りようとしたんだぞ!』
七海『嘘ばっかり…』
直哉『マジだょ…』
七海『何も覚えてない』
目の前が真っ暗になって慌てて…すぐ戻って…
何度も記憶を辿って見るが思い出す事は出来なかった。
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