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「どうしたの?」
そう声を掛けると、こちらを見る少女。
目が赤くなっていてビビった。でも、それ以上に可愛い顔にビビった。
名前は忘れたが、保育園の中で一番可愛いと言われていた娘よりも、その少女は可愛かった。
その少女の目からは涙が零れていた。やはり、どこか怪我をしたのだろうか? と、俺は考える。
俺は餓鬼のバカな思考回路を精一杯に絞り、何も答えない美少女に
「鉄棒から落ちた?」
と、聞いてみた。
女の子は首を横に振る。いったいどうしたのだろうか?
俺は目の前で泣く少女を見て、罪悪感が募る。
別に自分が泣かした訳じゃない。それでも、その娘が泣いている理由を解明出来ず、何も出来ない自分に苛立ち、俺は自分の家へと走っていった。
自分の家に着くと、ハンカチを持ってその娘のところまで戻っていった。
公園に戻ると、俺が声を掛ける前の状態に戻っていた女の子。
俺はその娘の肩を軽く叩き、その娘にハンカチを渡した。
「……ありがと」
掠れた声で礼を言う少女。川原 綾香の声を初めて聞いた瞬間だった。
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