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前述した通り、俺はこれと言って人より遥かに優れていることは何もない。真の意味での凡人だ。
が、ある一点を除いて……俺はある種特別な存在になる。
そう。その一点とは
「あっ、慎二。おはよ」
「おはよう……」
目覚ましが効かなかった。起きたら朝飯なんて食う暇もない時間帯で、顔を洗って歯を磨いて、寝癖はそのまんまで制服を着て家を出た結果。……こうなった。
俺の家から歩くこと約30秒。普通の一軒家がある。が、そこに住んでいる人物は普通ではない。
川原 綾香(かわはら あやか)。俺と同い年であり、俺の幼なじみでもあり、俺の……大好きな人物。
「寝癖ヤバいよー? 直す暇なかったの?」
「昨日、遅くまで勉強しててね。直す暇なんてありませんでした」
「嘘言わない。どうせネットか何かでしょ」
と、呆れたような口調で言う高校二年生の美少女。そう。川原 綾香は誰もが認める美少女だ。
中学の修学旅行の際に、東京で芸能事務所にスカウトされたのは語り草。
モデルのような体型。女子にしては身長が165センチと高い。
が、それ以上にスラッ伸びた無駄な肉など一切ない綺麗な脚。
男女問わず、この脚だけでも憧れの的。
そして、男子の希望と夢を詰め込んだような悪魔の果実。女子からは羨望の眼差しを受ける、膨らんだ胸。
肉付きがいい腰のラインもまた、男女問わず憧れの的だろう。
そして、さらさらの綺麗な黒髪に、冬なんかは不健康に見えてしまうのではないかと思える白い肌。
そして、芸能人も正に顔負けの顔立ち。外見上に欠点を見い出せ! と言う問いがテストで出されたなら、一番の難問となること間違い無しだ。
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