限界突破

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「ねぇ、限界突破ってしたらどうなると思います?」 「何が?何の限界?」 「人間の限界的なソレをですね今日突破しようと思うんですけど。具体的には飛びたいかなと」 「え、あ、うん。行ってらっしゃい」 「いや出来ればあなたにも来てほしいなって思ってるんですけど」 「え、ちょっと無理かな」 「いやいやそんなこと言わずに。人間なんて止めちゃいましょうよ。生きてたっていいこと無いでしょ?」 「いやあるよご飯おいしいもんあったかい布団気持ちいいもん。もう世の中いいことだらけ」 「そんなのまやかしですよ?すぐなくなっちゃいますよ?」 「うー、いいんだよ。思い出は残るんだから」 「んー……、じゃあいいです。すいませんでした、無茶なこと言って」 「いえいえ。……で、あなたは人間やめちゃうの?飛びに行くの?」 「あ、はい。やっぱり限界突破してみたいんで」 「そっかぁ、行ってらっしゃい」 「はい、行ってきます」 そう微笑んで、次の瞬間彼は近場の窓から飛び立って。 瞬間浮遊した後、真っ逆様に墜落死。 ぐちゃり、と肉の潰れる音が聞こえたような気がしたけれど、その幻聴は直ぐに風に流れて消えていった。 とりあえず、窓の下に居る肉塊と化した彼へと別れの一言。 「……いやいや、限界突破出来てないからね、それ」 (了)
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