プロローグ

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神子 空知(しんじ そら)はお嬢様だった。 少し長いくらいのショートの髪に、整ったきれいな顔。 まるで人形のように表情はないものの、人の心をひくには十分な外見をしている。 そんな空知は大きな日本風の屋敷に住んでいた。 祖父はいまだに忙しく働いていて、母親はエリートとかで外国で働いている。 皆、家にはほとんど帰ってこなかった。 だから、空知は広い屋敷に一人暮らしをしていると言っても過言ではなかった。 空知は家事から何まで自分のことは自分でこなし、そのうえ、勉強も運動も、天才と言われる程度にこなしていた。 空知は何をやっても人並み以上にこなすことができるだけの才があった。 だからこそ。 空知は何をやってもつまらなかった。 熱中できるものがほとんどなかった。 そんな空知がはまったものは……剣道だった。
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