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『あ~あ…明日は帰るんだね』
「楽しかった?」
『楽しいから帰りたくないんだ』
「でも、凜の仕事が始まるしね」
『うん……はぁ』
本当はもっとここに居たいけど、せっかく決まった就職だしね
「海に行ってみる?」
『うん』
二人で手を繋ぎながら、
砂浜に腰を降ろした
『すごい星空』
「綺麗だね」
都会では見ることが出来ないような満天の星空
『地上から見える星は
大気の関係で半分以下しか見えないんだって……全部みえたらどんな星空なんだろう』
「きっと怖いくらい美しい星空かもね」
『うん』
空を見上げる凜を見つめながら、やっぱり星空より凜を見てしまう自分に笑えた
『あっ、流れ星!』
「ん?」
凜は何か願い事をしていた
『あっ…間に合わなかったし』
「どんな願い事?」
『んと……これからも
朱雀とずっと一緒に居られますように……を三回』
「確かに間に合わないね」
『う~ん……』
「だけどきっと願いは叶うよ」
『だよねっ!あっ、また流れ星だ』
「クスッ」
『てかさ…じっと見てるとたくさん流れ星が見えるよ』
「星が一生を終えたんだね」
『流れ星はその後どうなるの?』
「そうだな…また新しい星に生まれ変わるんじゃないかな」
『そっか』
「私は生まれ変わっても、また凜を捜し出せるよ」
『俺だって朱雀より先に捜し出すもん』
「じゃ、競争だね」
『うん』
そんな話をしながら
いつまでも二人で降るような星空を見つめていた
そっともたれる凜の肩を抱きしめながら、たまにキスをして、いつまでも砂浜に座っていた
『朱雀……』
「うん」
『冷たい……』
「満潮だったみたいだね」
『あはっ』
海水が押し寄せて来て
服が濡れてしまった
「風邪ひくといけないから戻ろう」
『うん』
笑いながら立ち上がる
きっとこの日の星空は
忘れない
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