28人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ春の陽気さの中に残る寒さがぞわりと俺の背中を撫でる。
外に出てみるとまだ琴音さんは来ていなかった。
そろそろ来る頃だし空でも眺めて待ってるかなー、なんて思ってなんか詩人か歌人みたいなちょっと風情見えてるようでかっこよくね? 的雰囲気を醸し出しつつ? 俺は空を見上げた。
青い空。晴天晴れ晴れ良い気持ち。今日は星座占いも良い結果だったし、完璧な良い日、だね。
「おはよう!」
そんなことを考えているとマイスゥイートハニーの琴音さんが美しい黒髪をなびかせながら走って来た。
その白い肌! 長いのにサラサラな黒髪! そして大きな目にかわいらしい小さな顔! 絶対俺には釣り合わない。
なのになぜか俺のことを好きだと言ってくれた。
最初は新手の嫌がらせだと思ってた。今もまだ完全に否定はできないが、否定する必要がなくなった。
何故なら俺が琴音さんに惚れたから。もう騙されててもこの瞬間、一瞬でも長く、できるだけ永く一緒にいたいと、それだけでいいと思えたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!