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「ユッコは熱あるんだから、大人しく寝てんのよ!!」
空港まで創太郎を送って行くため、サツキと純矢が来ていた。
アタシはというと、あの後、高熱で動けなくなり、強制的に創太郎の家に連れてこられていた。
サツキに怒られるのは久々で、真っ赤な顔をしてアタシはニヤニヤした。
「ユッコちゃんが熱でおかしくなってんぞ」
そばにいた純矢が、そう言って慌てる。
「違うの。…なんだか嬉しくて」
そういうと、純矢はフッと優しい表情で笑った。
「オレ、創太郎の荷物車につけてくるわ」
純矢はそういうとアタシの頭を撫でて、部屋を出ていった。
「ユッコ…良かったね」
そう言って、サツキは、アタシのおでこのカサカサに干からびた冷えピタをはがす。
「え…?」
「創太郎とうまくいったみたいだし…。ちょっと安心しました」
サツキは少し寂しそうな顔をして、アタシのおでこに新しい冷えピタをくっつけた。
「冷たっ…!!」
「じゃぁ、ここに薬とお水置いとくから飲むんだよ」
アタシはコクリと頷くと「良し!!」と言って立ち上がった。
「ワタシもそろそろ外に行くね。見送ったらまた来るから」
そう言ってサツキも部屋を出ていった。
隣の部屋から聴こえるバタバタという足音や話声が、なんだかとても心地よかった。
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