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四方八方塞がった奈落の底で、男は全てを諦めた。
おそらく、自分以上に切羽詰まっている人生を歩んでいる人がいるのはわかっている。
しかし、だからといって出来ない事は出来ないのだ。
一度絶望の淵に立ってしまえば後は楽だった。
詰まらない罪をいくつか重ねてもどうせ死ぬのだと割り切ってしまえば罪悪感など微塵も感じない。
そして今、死に場所にこの場所を選んだ。
振り返ってみれば実に下らない物だったと可笑しいやら情けないやら笑えてくる。
激安が売りの雑貨屋で買った頑丈そうなロープを手に持ち、男はフラフラと丁度よい木を探しに、公園の周りの林をさ迷った。
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