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丁度よい物を求めて藪蚊のはびこる林の中を散策してみるが、どれも男の全体重に耐えられそうな枝を持つ物はなかなか見つからない。
うんざりするほど不快な蒸し暑さに耐えながら都合の良い棺桶を探すこと数十分、男は首を吊るには十分な木と、それにぶら下がる驚くべきものを目にした。
茂みから伸びるすらっとした細い若い女のものと思われる足――首を吊った女の死体だった。
男は発見したとき、多少驚きこそしたがそれ以外の恐怖だとかいう感情は抱かず、ただ、折角いい木を見つけたのに先に使われているとは少し残念な気がした。
しかし、すぐにそれでも構わないかと思った。
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