溢れ出る力~解放~

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「龍鵺君、遅いな……」 龍鵺の魂が契約の間に行ってから、約3時間程が経った。魔法陣の中には倒れた龍鵺……つまり肉体だけが残っている。 「大丈夫かな……」 下手したら死ぬ、契約の儀式。 龍鵺は簡単には死なないだろう……と思いつつやはり心配なのは教師の性だろうか。 などと考えていると、周りの空気が変わる。身体全体に掛かる、圧力。 「!?これは……何だ……誰の魔圧だ………こんなに強い魔圧なんて、理事長以外に僕は知らない……!」 魔圧とは人が外の大気中に魔力を放出した際に発生する圧力の事であり、圧力はその人の魔力の質に比例し高くなったり、低くなったりする。 「この魔力の質……まさか龍鵺君なのか……?」 次に目覚めたのは儀式を行ったグラウンド。先程までの浮遊感に変わり、何時も通りの地に足が付く感じだ。 「……戻って来れたのか……?」 ゆっくりと立ち上がる。 その瞬間だった。 「ッ……!?(龍鵺君が帰って来て更に上がった……やっぱりこれは……!)」 周りを見回すと苦しそうにうずくまるキースが見えた。苦痛に表情を歪めている……ただ事では無いのは明白だ。 「キース!?どうした!?」 ――やはりな…… キースに近寄り肩に手を掛けると、頭に直接ジャドーの声が響いた。契約した使い魔とは何時でも会話できる、というのを思い出したのだが今はそれどころじゃない。 「ジャドーか!?キースのこの状態の原因、知ってるなら教えろ!」 ――主の中で魔力を抑えてある蓋をを外させてもらった。今の主はその膨大で強力な魔力を流し続けている。その為、周りには到底考えられないような魔圧が掛かっている。その者は主の魔圧で苦しんでいるようだな。 「どうしたら抑えられる!?知っているんだろう!?」 ――これを手に着けるが良い。 目の前に小さな魔法陣が現れ、黒く光る。するとそこに現れたのは手甲に魔法陣とルーンが刻まれた右手用の黒い手袋だった。  
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