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「じゃあね。」
Kが楽しそうに先に電車を降りる。
デートだもんね…。
ズキズキ…。
ズキズキズキズキズキズキ…。
また、衝動的に。
ヒロは3の腕を掴んで電車を降りる。
「先輩?!」
「しっ…。アイツ、尾けてみよう。楽しそうじゃん。」
ヒロは言いながら遠慮無く3を引っ張って歩く。
Kを見失わないように。
「先輩…。」
3は戸惑いながら、電車がホームから出て行き、結局ついて行くしかなくなる。
背中が遠い…。
今日のカノジョはKより年上っぽい。
Kの笑顔はいつも通り。
それを確認してヒロはホッとする。
「先輩?」
ようやく3に気付く。
忘れてた。気まずいんだった。
ヒロは笑って誤魔化す。
「あ。行っちゃう。」
ヒロはすぐ3を忘れてKを追う。3の前だと自分の他人と違うところ、隠すの必要なく感じる。
まさか、すぐとは…。まだ午前中なんだけど…。
ヒロは3の手を引いてKを見る。
楽しそうにラブホに入って行く。
胸痛い…。息できない。
苦しい…。
ぐったりするヒロと気まずそうな3。
「ナオちゃん、ちょっと付き合って。」
ヒロはまた3を引っ張ってく。
「えっやっ…。」
「何もしないから。つーか、するわけないから。」
3を黙らせてヒロはKが入ったラブホに入る。
もう、何が何だか分からない。
死にそう…。
めちゃくちゃに壊れる。
壊れてしまえばいいっ…!
「先輩っ!」
3は思っていたより力は無くて、簡単にベッドに押し倒される。
必死でヒロの手を放そうともがくが放れない。
3より自分のほうが力、強いんだ…。
「…俺…男なんだって。」
ヒロは3の手をギュウッと掴む。
「痛…。やだっ…。」
3は頑張ってもがく。
泣きそうな顔で必死。
「ヤるわけないだろっ!」
ヒロは怒鳴る。キレる。
3は驚いて声を失う。
気持ち悪い…。
Kがしていることを考えるだけで…。
ポタポタ…。
3に落ちる。
涙が出ている…。
苦しい…。
死んでしまいそうなくらい苦しいのに死なない。
死ねばいいのにっ。
「殺してくれっ…。」
ヒロは泣きながら3にストンと落ちる。
「先輩…?」
「殺してよ…。俺を殺して…。お願い…。」
3に抱き付いて泣く。
お願いだから俺を殺して…。静かに3を抱き締めていると落ち着く。
3は顔を背けてジッとしている。
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