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掴まれた女の子は険しい顔してる。 「あ…。」 ヤバッ!名前出てこない! 「な…何ですか…。」 女の子はヒロだって気付いてくれない。 あまり話してなかったからなぁ…。 でもまだ男なのに…。変わってないのに。 「あ…の…、ナオちゃん元気?」 「ナオ?」 「俺、分かんない?電車で一緒だったじゃない。一年間。」 「あ。ヒロ先輩?」 「そう!」 良かった!思い出してくれた! 「ヒロ?何?知り合い?」 「あ、うん。高校の後輩の友達。」 「……。」 「……。」 ヒロに紹介されても二人は黙ってヒロを見てる。 「え、何?」 「お前待ちだよっ。」 「何で!?あっ、コイツ今一緒に店やってる仲間の勝人。」 ヒロは女の子にも紹介を。 でも二人は黙ってヒロを見る。 「何待ち?」 「…ハァ。」 女の子は呆れて溜め息を吐く。 「先輩。私の名前スッカリ忘れたでしょ。」 「えっ。」 「やっぱり。」 「あはは。ごめん…。」 「まぁ仕方ないけどね。話したこと無いし。」 「あれ。無かった?」 「無いよ。先輩、Kかナオばっかりだったじゃん。」 「はは…。ナオちゃん元気?」 「あー…。」 「君、美人だね。何ちゃん?」 女の子が答えようとするのを勝人が割り込んだ。 「…ヨシノです。」 「ヨシノちゃん。今暇?」 「うん…はい…。」 馴れ馴れしい勝人に彼女は怪訝そう。 「じゃあ先輩を助けると思ってウチの店に来ない?そして気に入ったのあったら買って?」 チョー直球! 「店って何屋さん…?」 「服屋さん。」 「ヒロの高校の後輩の友達のヨシノちゃん。」 勝人が明菜と翔にヨシノを紹介する。 「うわぁ美人!キレイ!」 翔のテンションが上がる。 ヨシノの手を取って感動。 「良かったらイッパイ買ってってね?」 翔はすがる。 「いや、大学生なのでそんなには…。」 「大丈夫よ。この人達材料費無視してベラボウ安い値段設定してるから。」 明菜が接客スマイルで教える。 「だって高いと売れないじゃん。」 「安くても売れてないんだけど?」 明菜はヒロには厳しく変わる。 怒られたっ。 「スイマセン…。」 「大体ねぇ。アンタはフリフリなの作り過ぎなのよ。ウチはカントリー系でもロリータ系でも無いのよ。そんな狭いところ狙ったって勿体無いの。分かる?」 「はい…。」 「明菜、今ダメ出ししなくても…。」 「勝人も。」
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