32人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前は電車で一緒の美人の子が好きなんだと思っていたけど。」
実際はそんなこと思ったことは無かった。
ただ、何で美人の2より、その子なのか聞いてみたかった。
「美人?あ~。」
‘美人の子’で通じるって事は、Kも2を美人だと思ってるんだ。
「絶対ない!アイツって可愛くないもん。性格が。」
Kは全身で否定をした。
そして2と比べながらカノジョの良いところを次々あげていく…。
「…。あ。オヤスミ。」
ふと、聞いてられなくなった。
ストレスがピーク。
「えー…つまんないっす…。」
Kは呆れながらヒロよりも先に寝る体勢をとる。
Kのことはいい奴だと思う。
カノジョの良いところがポンポンと出てくるあたり、可愛らしいものだ。
けど。
胸がモヤモヤする……。
切ない。イライラしてる…。
あぁ、…死にたい。
そうだ。
いつもそうだ。
自分に近付いてくる奴は。
普通よりも女が大好きで。バカで。
ヒロは気が付く度、死にたくなる。
意味の無い感情。
どうしろっていうんだ…。
ヒロは学校に行くいつもの駅の一つ前で降りた。
自分達が降りる駅と、Kの友達らが降りる駅の間。
Kを見送ってから、衝動的に。
ヒロはKを追って降りた。
Kに気付かれないよう尾ける。
コイツはどんな顔でカノジョを見るんだろう…。
観察をしないと。
他人に興味は無い。
他人に興味は無い。
他人に興味は無い。
無い。無い…無い、無い…。
言い聞かせていると気持ち悪くなる。
バカらしい…。
Kはカノジョに笑っていた。
いつもの笑顔とひとつも変わらない。
同じだ。
ホッとする。
……。
ホッとしたことに気持ち悪くなって。
腐ってしまえばいい。
手足から、黒く…。
早く死ねばいい。
死にたい。
「あ。ナオちゃん?」
「え…あ…。」
まだ夏休み。
いつもより早い帰りの電車で。
つり革に掴まってふと、前に座っている子に気が付いた。
Kの友達3。
私服の3。
ヒロに気付かれて戸惑っている。
「えっと…。」
「ヒロカワカズヒサだよ。」
挙動不審な3に教える。
多分、名前も顔もキチンと覚えて無いだろう。と。
仕方ない。電車で顔を合わすだけで、話したこと無いから。
知られていても不思議な感じがしてしまう。
3は人の顔を見ない子だから。
今も、うつ向いてヒロを見ないで困っている。
「えっと、いつも電車一緒じゃん。あの煩い奴の高校の先輩です。あ。自分で先輩って言うの変な感じ?」
3は下を向いたまま笑う。
最初のコメントを投稿しよう!